Japan Cellarのレビューメソッドについて
Japan Cellarでは、日本の酒類を日本だけでなく、グローバルの多くの愛好家の皆さんに向けて、わかりやすい方法でレビューし、商品を選択する際の指標としていただくことを目指しています。
日本酒、焼酎については、利き酒師や焼酎利き酒師など、すでに確立された評価メソッドも存在しています。私たちは、もちろん、そのような手法についても、専門家の皆様の長年にわたる経験と、知識、そして鋭い味覚に基づいたものであると考えており、最大限の敬意をもって評価しています。
一方、Japan Cellarの立ち上げに当たり、ご協力いただくレビュアー陣との協議を通じて、私たちは、Japan Cellar独自の評価メソッドを基にレビューを行う方針を採用することにしました。
Japan Cellar独自の評価メソッドを採用する理由
Japan Cellar独自の評価メソッドを採用する理由は、以下の通りです。
理由1: グローバルな理解の容易さ
日本で一般的な日本酒、焼酎の評価メソッドは、各酒類に特化した評価手法として優れているものの、種類ごとに体系が別々に作られており、海外の愛好家が理解するためには学ばなければいけないハードルが高いという課題があります。
理由2: ワイン評価体系の普及性
グローバル市場で最も専門家や愛好家が多いと想定されるワインは、商品評価の体系が確立されており、すでに広く普及しています。
理由3: 日本酒への適用可能性
Japan Cellarのレビュー対象は、日本酒、焼酎、日本ワインであるが、日本ワインはもちろんのこと、特に日本酒については、ワインの評価メソッドによって十分に商品の個性や品質を説明することが可能です。
このようなポリシーのもと、Japan Cellarでは、グローバルのワイン評価の世界で最も普及している手法の一つであり、専門家から一般の愛好家まで広く親しまれているメソッドであるBLICUをベースとして、独自の評価体系を構築することといたしました。
ワインのBLICUメソッドとそのカスタマイズ
BLICUメソッドの名称は、B、L、I、C、Uという5つの評価項目の頭文字を取って付けられています。以下で、まず、既存のワインの評価メソッドについて説明します。
Balance(バランス)
ワインのバランスは、ワイン内の各要素(酸味、甘味、タンニン、アルコールなど)がどれだけ調和しているかを示します。過度に強い酸味や甘味がある場合、バランスが悪いとされ、逆にすべての要素が調和していると高い評価を受けます。
Length(余韻)
ワインを飲んだ後に口の中に残る味わいの持続時間を指します。余韻が長ければ、ワインは複雑で印象的であるとされ、品質が高いと評価されます。
Intensity(インテンシティ)
ワインの香りや味の強さを評価する要素です。強い香りや味がしっかりと感じられるワインは、インテンシティが高いとされます。逆に、味が薄く感じられる場合は評価が低くなります。
Complexity(複雑さ)
ワインの多層的な味わいや香りの複雑さを示します。複数のフレーバーや香りが重なり合っているワインは、複雑で興味深いとされ、評価が高くなります。単純な味わいのワインよりも、複雑で深みがあるワインの方が魅力的とされます。
Uniformity(均一性)
ワインがどれだけ一貫しているか、また瓶詰めのバッチ間での品質の一貫性を評価します。均一なワインは常に同じ品質を提供するため、信頼性が高いとされます。
Japan Cellarでの検証結果
上述の通り、Japan Cellarの評価メソッドは、グローバルのワイン愛好家に広く受け入れられることを目指しているため、Balance、Length、Intensity、Complexityの4つの項目は「ワイン」の単語を「日本酒」「焼酎」と読み替えるだけで十分に商品評価を正しく行えると考えました。
事実、Japan CellarのExecutive Reviewer3名で、日本酒、焼酎、日本ワインそれぞれについて同一商品のレビューをBLICの4項目でテスト的に実施しましたが、各項目の評価の乖離は、10点満点採点で1ポイントの範囲で収まっており、日本のトップクラスのレビュアー陣には十分に有用性のある指標であることを確認しています。
Uniformity(均一性)の置き換え
次に、Uniformity(均一性)ですが、この項目は、上記の説明にあるように、同じ銘柄の複数の商品にまたがる品質の均質性、一貫性を評価する指標であり、Japan Cellarが行う、1本の商品をレビューして点数を付けるという趣旨にはそぐわない指標であると判断しました。
このため、Japan Cellarでは、Uを独自にUniqueness(独自性・個性)という項目に置き換える方針とし、Japan Cellar固有のBLICUメソッドとすることにしました。
Japan Cellar BLICUメソッドとは?

JC BLICUメソッドの定義
Japan Cellar BLICUメソッド(以下、「JC BLICU」)とは、日本酒、焼酎、ワインなどの酒類を評価するための手法です。グローバルで広くワイン専門家、愛好家に普及するワイン評価のBLICUメソッドをベースに、より酒類の個性やレビュアーの感性を表現しやすい体系にアップグレードしたものです。
BLICUの名称は、各評価項目の頭文字を取って命名されています。各項目の詳細は下記の通りです。
Balance(バランス)
酒類のバランスは、各酒類の各要素(酸味、甘味、タンニン、アルコールなど)がどれだけ調和しているかを示します。過度に強い酸味や甘味がある場合、バランスが悪いとされ、逆にすべての要素が調和していると高い評価を受けます。
Length(余韻)
酒類を飲んだ後に口の中に残る味わいの持続時間を指します。余韻が長ければ、酒類は複雑で印象的であるとされ、品質が高いと評価されます。
Intensity(インテンシティ)
酒類の香りや味の強さを評価する要素です。強い香りや味がしっかりと感じられる酒類は、インテンシティが高いとされます。逆に、味が薄く感じられる場合は評価が低くなります。
Complexity(複雑さ)
酒類の多層的な味わいや香りの複雑さを示します。複数のフレーバーや香りが重なり合っている酒類は、複雑で興味深いとされ、評価が高くなります。単純な味わりの酒類よりも、複雑で深みがある酒類の方が魅力的とされます。
Uniqueness(独自性・個性)
Uniquenessは2つの視点を複合的に評価する指標です。
視点1: 突出した個性
対象となる酒類にBLICにとらわれない評価すべき突出した個性があるかを評価します。既存の概念にとらわれず、高いクリエイティビティがある場合に高い評価を与えられます。
視点2: レビュアー個人の好み・趣向
Japan Cellarのレビューはレビュアーの記名を原則とするため、レビュアー毎の個性を評価に反映させることで、レビューの点数だけでなく、読者の皆様の味覚に合う商品を選択する指標として活用されることを想定しています。
まとめ
JC BLICUの理念
JC BLICUは、ワインで培われた酒類を客観的に評価するというコンセプトを最大限尊重しつつ、既成概念にとらわれないクリエイティブな造り手のチャレンジを支援できるレビュー体験を目指しました。
さらに、酒類のレビューを行うのは人間であり、レビュアー個人にも個性・感性に違いがあり、その個性も反映できる余地を取り入れることで、より読者に商品選択の基準を提供できると考えました。
読者の皆様へ
是非Japan Cellarがおすすめする商品をお楽しみいただき、ご自身の感性に近いレビュアーを見つけていただくと、よりご自身の好みに合った商品に出会える確率が上がるのではないかと思います。
お問い合わせ
レビューメソッドに関するご質問は、以下までご連絡ください。
Email: pr@hyper-productive.jp