日本酒の分類3

日本酒の分類3

 

1.製造上の特徴による日本酒の分類

日本酒は、原料や精米歩合、香りや味わいなどで分類されるだけでなく、製造工程や処理方法の違いによってもさまざまな種類に分かれます。これにより、日本酒は多様な風味や特徴を楽しめる飲み物となっています。以下に、製造上の特徴による代表的な日本酒の分類を解説します。

 

2.生酒(なまざけ)

生酒とは、製造工程で火入れ(加熱殺菌)を一切行わずに瓶詰めされる日本酒です。通常、日本酒は貯蔵前と瓶詰め前に2回火入れを行いますが、生酒はこれを省略し、搾りたてのフレッシュな状態が保たれています。火入れをしていないため、酵素や酵母が生きており、冷蔵での保存が必要です。鮮度が高く、フレッシュでフルーティーな香りと、軽やかな飲み口が楽しめます。

 

3.生貯蔵酒(なまちょぞうしゅ)

生貯蔵酒は、貯蔵前は火入れをせず、生の状態で低温貯蔵され、出荷前の段階で1回だけ火入れを行った日本酒です。生酒に近いフレッシュな風味を楽しめますが、出荷前の火入れにより保存性が高まっています。冷やして飲むと、爽やかでスッキリとした味わいが引き立ちます。

 

4.生詰酒(なまづめしゅ)

生詰酒は、貯蔵前に火入れを行い、瓶詰め前には火入れを行わない日本酒です。このため、貯蔵中に熟成が進み、まろやかな味わいが生まれます。ひやおろしなど、熟成によってまろやかな風味が増した日本酒に多いです。一般的に冷やして飲むことで、その独特の深みや旨味が楽しめます。

 

5.原酒(げんしゅ)

原酒とは、搾った後に水を加えず、そのままのアルコール度数で瓶詰めされた日本酒です。一般的な日本酒は、アルコール度数が15度前後になるよう水で調整されますが、原酒は18度から20度と高めのアルコール度数を持ち、濃厚でコクのある風味が特徴です。重厚な味わいが楽しめるため、少量でゆっくりと味わうのに適しています。

 

6.長期貯蔵酒・古酒(こしゅ)

長期貯蔵酒や古酒は、2年以上の長期にわたって熟成させた日本酒です。熟成によって色が琥珀色に変わり、まろやかな甘味や深い旨味、スパイスやナッツを思わせる風味が加わります。一般的にアルコール度数が高く、味わいも濃厚なため、チーズやナッツ、チョコレートなど、風味の強い食べ物と相性が良いです。ワインやウイスキーのような熟成酒の楽しみ方ができる日本酒です。

 

7.樽酒(たるざけ)

樽酒は、杉などの木製の樽に入れて熟成させることで、木の香りを移した日本酒です。特に吉野杉を使用した樽酒が高く評価されています。木の香りがほのかに日本酒に移り、独特の風味と清々しい香りが楽しめます。祝いの場やお祭りなどで提供されることも多く、伝統的な香りが楽しめる日本酒です。

 

8.にごり酒(にごりざけ)

にごり酒は、もろみを粗めの布でこすことで、微細な米や麹が残り、白く濁った見た目になる日本酒です。とろりとした舌触りと濃厚な味わいが特徴で、甘味や旨味がしっかりと感じられます。発酵中の炭酸がわずかに残るため、シャンパンのようなシュワシュワとした刺激が楽しめるものもあります。伝統的な冬の風物詩として親しまれています。

 

9.発泡酒

発泡酒は、日本酒に炭酸ガスを吹き込み、発泡させた日本酒です。アルコール度数が低く、8度前後のものが多く、夏に冷やして飲むのに適しています。シャンパンやスパークリングワインのような爽快感が楽しめ、食前酒やデザートと合わせることができます。軽い飲み口で、日本酒初心者にも飲みやすいのが特徴です。

 

10.ソフト酒

ソフト酒は、アルコール度数を10~14度程度に抑えた軽めの日本酒です。口当たりがソフトで、軽く酔いたいときや、日本酒のアルコール度数が苦手な方にも適しています。飲みやすい風味から、女性やお酒にあまり強くない方に人気があり、食事と一緒に楽しむのにも適しています。

 

11.まとめ

製造上の特徴による日本酒の分類は、原料や精米歩合だけでは表せないさまざまな魅力を日本酒に与えます。生酒やにごり酒、樽酒などの多彩な種類を理解することで、自分の好みに合う日本酒を見つけやすくなります。また、それぞれの製法によって味わいや香りが異なるため、シーンに応じた日本酒の選択肢が広がります。製造方法を知ることで、さらに深い日本酒の楽しみ方ができるでしょう。